教員免許は、大学・学部・学科・コース(以下、このノートでは「学科」と記します)によって取れる種類が決まっています。ここでは、大学入学後に「やっぱり教員になりたい!」と考えたものの、在学中の大学では希望する教員免許が取得できない大学生のために、なるべく早く、安く、簡単に必要とする教員免許を取得する方法を紹介します。
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※ 大学既卒の社会人の方はこちらをご覧ください。
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状況に応じた3つのケースと、大学院で取得する方法についてそれぞれ説明していきます。
■ A 教員免許が取れない学科に在籍している場合
■ B 異なる校種の教員免許が取れる学科に在籍している場合
■ C 同校種他教科の教員免許が取れる学科に在籍している場合
■ D 大学院で取得する方法
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在学中の大学の他学部・他学科で希望する教員免許が取れる場合、進級時に転部・転科が可能かもしれません。大学に相談してみましょう。ただし、現在の学科で修得した単位の一部は、転科先での卒業単位に認められない可能性があります。また、教職科目の履修や教育実習の手続きの関係で、在学期間が延びてしまう可能性もあります。
上記「A01」の方法が不可能な場合、希望する教員免許が取れる学科に入りなおすしか方法はありません。現在の大学で修得した単位は、編入先大学で修得した単位とみなされる(単位認定)ものの、一部しか認定されない場合もあり、認定されない単位が多いと、在学期間が延びてしまう可能性があります。編入学は、2年次、3年次、4年次がありますが、教員免許を取得する場合には、必要な単位数や教育実習の手続きの関係で、4年次編入でも卒業・免許取得には2年かかります。2年次、3年次編入であっても、同様の理由で1年余計にかかるケースがあります。
現在の大学は中退することになりますが、中退時期によっては試験もレポートも合格していた科目の単位がもらえないということにもなりかねませんので、現在の大学ともよく相談して、何月何日時点で中退するかを慎重に決める必要があります。
一般の大学に編入する場合には編入学試験があります。難関大学では編入試験も難しく、予備校が編入試験対策講座を開いている大学もあるほどです。通信制大学に編入する場合は、書類選考だけで学力検査は行われないケースが多いです。
A02-注1 既卒者は編入先大学を卒業しなくても良い
A02-注2 教員免許を取るには大卒資格が必須
【A02】の1年次入学版です。この場合、現在の大学で修得済みの単位は原則として認定されません。
【A02】を大学中退ではなく、卒業してから行う方法です【A02-注1】に書いたとおり、編入先の大学を卒業する必要はありません。通信制大学に編入し、働きながら教員免許取得を目指すことも可能です。
※ 通信制大学についてはこちらもご覧ください。
A04-注1 放送大学では教員免許の新規取得はできない
「小学校教員免許が欲しいけど、いまの大学では中高の免許しか取れない」というケースです。この場合、現在の大学で教職課程の単位を修得しても、希望する教員免許の取得には使用できません。ただし、現在の大学で何らかの教員免許を取得すれば、のちに希望する校種の教員免許を取得する際、教職に関する科目の単位を最大15単位(高校免許取得時には14単位)まで流用することができます。詳しくは 【B02-注1 単位の流用について】をお読みください。
(→【A01】参照)
(→【A02】~【A04】参照)
B02-注1 単位の流用について
「教員免許法施行規則第6条表備考12、同13」により、取得した教員免許とは異なる校種の教職課程で修得した「教職に関する科目」を、最大15単位(高等学校免許取得時には14単位)まで流用することが可能です。
たとえば、「現在の大学では中学校・高校英語の教員免許が取得可能だけど、小学校の教員免許が欲しい」というケースを考えてみます。この場合、現在の大学(A大学とします)で中高英語教員免許を取得すれば、編入先の大学(B大学とします)で小学校免許を取る際に本来修得しなければならない教職に関する科目のうち、最大15単位を履修しなくても済むということです。B大学で履修不要となる科目については、居住地の都道府県の教育委員会に出向いて指導を受ける必要があります。事前に電話で予約し、持参すべき書類等の指示を受けた上で訪問してください。
なお、この方法は別校種の教員免許を取得していることが前提条件です。「教職課程で一部の単位を修得したが、免許は取らなかった」というケースでは、単位の流用は出来ません。
なお、教育実習は必要単位の全てを流用でまかなうことが原則としてできないため、編入先の大学で教育実習を実施する必要があります。教育実習の実施基準として特定の科目の履修を義務付けている場合は、A大学で履修済みであっても、B大学で再度履修することになりますので注意が必要です。
この方法を使う場合、教員免許申請手続きを自分で行う必要があります(個人申請)。必要な単位をすべて修得して卒業したら、A大学とB大学から「学力に関する証明書」を発行してもらい、その他の書類とあわせて都道府県教委に申請してください。書類に不備が無ければ10日から1ヶ月程度で教員免許が郵送されてきます。
なお、単位の流用を行うときは【C03-注1 年度末の教員免許個人申請は要注意】も必ずご参照ください。
「中学英語免許が欲しいけど、いまの大学では中学社会免許しか取れない」というケース。この場合、現在の大学で修得した教職に関する単位(「教職入門」「教育社会学」など)は、編入先の大学でも教員免許取得に有効な単位として認められる可能性が高いです。
(→【A01】参照)
(→【A02】~【A04】参照)
日本では2つの大学に同時に在籍することは禁止されています。ただし例外として、2つの大学のうち一方の学籍が「科目等履修生(科目履修生)」であり、2つの大学が共に認めれば、同時に在籍することが可能です。この方法を使い、現在の大学にない教員免許関連科目を他大学で履修することができます。
例として、現在の学科では中学国語の教員免許が取得できるが、取りたい免許が中学英語である場合を考えてみましょう。
まず、現在の大学(A大学とします)では、中学国語免許を取得してください。
科目等履修生として入学する大学(B大学とします)では、必ず中学英語免許が取れる学科に入学してください。卒業を目指すわけではないので、通信制大学でもかまいません。B大学で履修すべき科目について、B大学から指定がない場合は、居住地の都道府県の教育委員会に出向いて指導を受ける必要があります。事前に電話で予約し、持参すべき書類等の指示を受けて訪問してください。
この方法では、中学国語免許は卒業時にもらえますが、中学英語免許の申請は卒業後に自分で行う必要があります(個人申請)。必要な書類をそろえて居住地の都道府県教委に申請します。書類に不備が無ければ10日から1ヶ月程度で教員免許が郵送されてきます。
なお、【C03-注2 複数大学で単位修得する場合の注意点】も必ず参照してください。
C03-注1 年度末の教員免許個人申請は要注意
C03-注2 複数大学で単位修得する場合の注意点
「大学院で教員免許は取れないのか」という質問をときおり見かけます。確かに免許取得が可能な大学院もあります。しかし、教員免許を持たない人が、修士の学位と専修免許状の両方を2年間で取得することはほぼ不可能です。
前述の通り、一種免許状の取得には67単位が必要です。この67単位は大学院(修士課程)の修了に必要な単位とは別個に、学部課程で取らなければなりません。大学院で免許を取得するには、この67単位に加えて、大学院修了に必要な単位の修得と修士論文の作成という重荷を背負うことになります。どれほど頑張っても3年、気を抜けば4年はかかると考えてください。
それでは、3~4年かかることを覚悟すればどこの大学院でも教員免許が取れるかというと、そうではありません。
大学院の入学案内に「高等学校専修免許状(国語)が取得可能」と書かれているとします。ほとんどの場合、それは高等学校一種免許状(国語)を既に所持していることを含意しています。一種免許状の取得に必要な科目は一般に学部課程でしか開講されていません。しかし、大学院は本来研究を行う場であり、教員免許を取るために入る所ではないという考えから、大学院生が教員免許取得に必要な学部科目を聴講することを認めていない大学院も多いです。その場合、その大学院で一種免許状を取ることはできませんし、当然に専修免許状取得も不可能ということになります。
一部の大学院では「教育職員免許取得プログラム」などの名称で、教員免許を持たない人向けに、修士の学位と教員免許(1種または専修)を3年間で取得できるコースを設けています。「大学院 免許取得プログラム」などで検索すると良いでしょう。
なお、通信制大学院で、大学院に在籍しながら一種免許状取得に必要な学部科目を履修できるのは、現在のところ佛教大学通信制大学院だけのようです。
結局、大学院で4年かけて教員免許を取るということは、学部3年次に編入して2年間で一種免許状を取得後、大学院を2年間で修了するのと同じことを、大学院に籍を置いたままやっているに過ぎません。一般に大学院の学費は学部よりも高いですから、3年間で修了できる自信が無いのなら、一種免許状は学部で取ったほうが良いということになるでしょう。
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最後に
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